「見てたでしょ? あたしと一葉がキスしてるとこ」



「――っ‼」



ドクッ、と心臓が不穏な音を立てて、全身が硬直した。



呼吸の仕方を忘れたんじゃないかと思うぐらい息が詰まって、胸の奥にえぐられるような痛みが走った。



脳裏に一葉さんとノアのキスシーンがよみがえる。



もう二度と思い出したくなかったのに。



だんだんと濃く、鮮明になっていくその光景を一刻も早く消したくて、私は慌ててかぶりを振った。



「やっぱりね」



私の行動の意味を見透かしたように、ノアがフッと鼻で笑う。