恋愛なんて興味ない。彼氏なんていらない。



身代わり時代に誰かに恋をすることで散々な目に遭った過去があるからこそ、本心からそう思っていたし、今もその考えは揺るぎないはずだったのに。



「…………っ」



気付けば視界が半透明にぼやけて、クリアになったかと思えば、足元にぽたぽたと雫が落ちて、アスファルトにシミを作っていく。



こんな時に雨でも降ってんのかと思ったら、からからに渇いた喉に水っぽくてしょっぱい味が広がっていった。



ああ、そっか。私、泣いてんだ。



なんとなく、うっすらと気付いてたけど、私は一葉さんのことが好きなんだ。



――でも、この恋を、こんな形ではっきりと自覚したくなかったな……。