全身からさーっと血の気が引くのを感じながらも、近くの建物の陰に身を隠して、路肩に停まった高級車をこっそりと盗み見る。



認めたくなかったけど、間違いない。



あの白い高級車は、ノアが登下校する時に乗っていたものだ。



どうしてノアの家の車がこの街にあるんだろう?



まさか、自分の身代わりだった私の居場所を突き止めたから?



もしそうだったらどうしよう。さっきエントランスに向かおうとした姿も見られているのかもしれない……。



足元からガラガラとくずれ落ちそうになる不安感と、履いているサンダルの裏が地面に縫い付けられたように動けないジレンマにやきもきしている間にも、車のドアが開いて、中からノアが姿を現した。