「一葉さんって、こんな所に住んでんの……？」



目の前にそびえ立つのは、見上げてもてっぺんが見えないほど高いタワーマンション。



理音さん曰く、「16歳の誕生日にご両親が部屋を買ってくれて以降、一葉はここで一人暮らしをしてる」んだとか。



庶民の私には、親が子供にタワーマンションの部屋をプレゼントするって感覚がわからないけれど、このエピソードだけで一葉さんが別世界の人間なんだなとつくづく思い知らされる。



一葉さんはもう帰っているのかな？



とりあえず呼び出そうと、エントランスに近付こうとしたその時。白い高級車がこっちに向かって走ってくるのが見えた。



急いで車の邪魔にならない道の端に寄ろうとしたけれど、見覚えのあるナンバープレートが視界の端に入って来て、心臓がドクリと嫌な音を立てる。



「うそ……、なんで……？」