「素直になれよ、日和。このままだと一葉のやつ、お前の知らないお嬢様とお見合い結婚しちまうぞ」



「うるさいな。だから何なの? 私に一葉さんのお見合いを阻止する筋合いなんてないし……」



「押しかけちゃえば?」



「えっ?」



いたずらでも提案するような理音さんの口ぶりに、私は思わず面食らった。



たぶん、今の自分の顔を鏡で見てみたら、目が点になっているかもしれない。




「なんだかんだ言いながらも、一葉のことが気になってるんでしょ? だったら本人に直接会いに行ってみなよ」



「いや、でも……」



「顔を見に行くだけでもいいじゃない。もうずいぶん長いこと、一葉に会ってないんだからさ。もしかしたらこれがきっかけで、一葉と両想いになって、今後のお見合いも阻止できるかも」