ズキッと、胸の奥に痛みが走った。



大河の口から出てくる昔話は壮絶だけど、顔は笑っているから、彼の中ではある程度昇華できてるんだろう。



でも、その笑顔はどことなく寂しそうというか、悲しみになんとか折り合いを付けているように見えた。



それに……大河の過去の体験には、私にも少し覚えがあって、身につまされるというか――彼にシンパシーを感じて仕方ない。



「それで帰る場所もなくなって、どうしようもなくなって――街中でくすぶっていた俺に、理音さんが声をかけてくれたんです」



「それが、2人の出会い……?」



聞き返す私に、大河はフッと笑ってうなずいた。



「土砂降りの雨の日で、ずぶ濡れだった俺に、『せっかくだからうちにおいで』って、傘を差してくれて。その後はあれよあれよという間に、大人の間でいろいろ取り決めをした後、今に至るって感じっすね」



そっか、それでか……。