「それって、どういう……?」



「実は俺、理音さんの執事になる前に、暴走族にいたんです」



唐突なカミングアウトに衝撃を受けた。



硬派で真面目で、私と同い年とは思えないぐらいしっかりしている大河が、暴走族?



はっきり言っていまいち信じられないし、想像すらしたことなかった。



でも、大河の両方の耳たぶにはたくさんのピアスの穴が開いていて、それはまるで彼に暴走族時代があった事実を物語っているように見えた。



「俺、物心ついた頃にはすでに父親はいなくて。母親は、夜遅くまで遊び歩いたり、男を連れ込んだり。俺は邪魔者扱いで、ほとんど放置って感じでしたね」



「そ、そうなの……?」



「ええ。それで家に帰るのが嫌になっちゃって。中学に入学したのと同時に、自分の居場所を求めて暴走族に入ったんです」



「うん……」



「そこではけっこう楽しくやってたんですけど、中3の時に敵対するチームとのシマ争いに負けてしまって……、事前に取り決めていた約束通り、解散することになったんですよね」