「桜坂さんってさあ……、一葉さんの何なの?」



厄介ファンのうちの一人が、私にじりじりと詰め寄って来る。



「転校して来たばっかりなのに、もう一葉さんを手籠めにしてるみたいじゃない。一体全体どういうつもり?」



「どうって……一葉さんはただの知り合いだし、あの人に何かした覚えはないけど、どうしたの?」



「とぼけないでっ!」



なんだかよくわからないタイミングで、彼女たちの怒りの炎に油を注いでしまったようだ。



「下手な嘘つかないでよ! どうせ一葉さんをたぶらかしたんでしょ⁉︎ 棗さんと大河さんも一緒に……!」



「一葉さんはみんなのものなの! あんたみたいなビッチが独り占めにしていいような人じゃない!」



「そうよ! あんたみたいなブスが一葉さんたちに関わるなんて、おこがましいにもほどがあるんだから!」



「その澄ました顔もムカつく! 一葉さんとお近づきになっていい気になってるかもしれないけど、調子に乗るのもいい加減にしてよね!」



黙って聞いてれば、ワーワーギャーギャー……。



本当によく回る口だこと。



ここまでくると、もはや一葉さんの厄介ファンじゃなくて、害悪ファンって呼んだ方が正しいのかもしれない。



それにしても、一葉さんと関わりがあるってだけでここまで騒ぎ立てて、寄ってたかって私を責める彼女たちってもしかして――……?