煉魁が微笑したことによって、張りつめていた空気がいくぶん和らぐ。

 琴禰は全身を強張らせ、浴衣がはだけないように手を十字にさせていた。

「無理強いはしない。琴禰のことを大切に思っているからな」

「煉魁様……」

 多少強引なところはあるが、煉魁はどこまでも琴禰に優しい。

 自分の気持ちを隠すことなく伝えてくれる。

 それは、出会った時から一貫していることで、だからこそ出会ってから日が浅いとはいえ、急速に惹かれていった。

 決して好きになってはいけない相手だというのに。

 煉魁は琴禰の頭を撫でて微笑んだ。

 まるで、『大丈夫、俺はこんなことくらいでは琴禰を嫌いにならないよ』と琴禰に伝えるように。

 そして、組み敷いていた体を解こうとしたその時。

 琴禰は煉魁の手を掴んだ。

「嫌では、ないのです」

 潤んだ瞳で真っ直ぐに煉魁を見つめる。