煉魁が、『俺の部屋』といって紹介した場所は、とんでもなく豪華な御殿だった。

 部屋というよりも、家。家というよりも、宮殿。

 琴禰の認識では、部屋というのは、家にある一室を指すものだと思っていたが、煉魁の認識は違うらしい。

 煉魁と一緒にいると、つい忘れてしまいがちになってしまうが、煉魁は紛れもなく王様なのだ。

「ここは特別な者しか入室を許可されない、王の寝殿だ」

 一室に対する広さも驚きだが、部屋数も多い。

 宮中の御殿は、純和風の造りが主だったが、王の宮殿は神殿に近い華やかさがあった。

 障子建具は美しい面腰組子が使用され、床柱には精巧な彫刻が施されている。天井及び欄間には純金箔、純金砂子で仕上げられ、息を飲むほどの絢爛豪華な造りだ。

「日中、侍女が掃除に入るくらいで、ほとんど出入りはない。気兼ねなく一緒にいられるぞ」

 煉魁は琴禰を後ろから抱きしめた。

 他の者の目がなくなった煉魁は、心置きなく琴禰に触れてくる。