やはりその話か、と煉魁は思った。

 それ以外呼び出す理由もないのだから当然といえば当然だが。

「どうやら俺には無理なようです。父上が後妻を娶ってくれていればこんな杞憂はなかったでしょう」

 煉魁も、張り合うように言い返す。無理なものは無理なのだ。大王が煉魁の母以外愛せなかったと同じように、責務だけで妻を娶ることはできない。

「それを言われると耳が痛いな。お前にも愛する女性ができるといいのだが」

「愛する女性ができたところで、世継ぎが無事に産まれるとは限りませんよ」

「そうだな。お前が産まれたことは奇跡だった」

 もしも子どもが授からなかったら、母は今でも生きていただろうかと煉魁は思うことがある。

今でも母を愛している父を見ると、自分は産まれてこない方が良かったのではないかと考えてしまうこともある。

 けれど、世継ぎを産むことは母の念願だったらしいので、これで良かったのかもしれないとも思う。

しかしながら、王位継承を自分の代で止めることになるには、罪悪感が湧かないわけではない。