澄八は冷淡な目で琴禰を見据えた。この期に及んで、優しい言葉一つかけてくれない。

 でもそれは仕方のないことなのだ。琴禰は忌み嫌われた、生まれてはいけない存在だったのだから。

 皆に認めてもらうためには、厄災の元凶である、あやかし王を滅ぼさないといけない。

それだけが、琴禰が祓魔で生き延びる方法なのだ。

「……わかりました。私が、あやかし王を殺します」

 琴禰の決断に、澄八は唇の端を上げ、陰りのある笑みを薄く浮かばせた。

「それでは、血の契約を結ぼう。心変わりして逃げ出すことがないように」

 澄八は完全に琴禰の退路を奪う気だ。一瞬躊躇したが、断ることなんてできない。