「いいえ、稽古を教える煉魁様の姿があまりにも美しかったので、もう少し見学していってもいいですか? 邪魔にならない所にいますので」

 煉魁はおはぎを頬張りながら、まばたきを繰り返した。

「もちろん、いいぞ。そうか、かっこよかったか……」

 少し照れ臭そうな顔をして、煉魁は呟いた。俄然、やる気になったのは言うまでもない。

 琴禰は突然、煉魁の肩に頭を乗せた。

 控えめに甘えるような仕草に、煉魁の胸の心拍数が上がる。

「煉魁様は、誰よりもかっこいいです」

 偽りのない本音だった。

 毎日一緒にいるのに胸の高ぶりを感じる。遠くから見ても見惚れてしまう。夫婦なのに、こんなにときめくのはおかしいのではないかと思うくらい、好きな気持ちで溢れていた。

 それはもちろん、煉魁も同じことで、毎夜抱いているのに、肩に頭を乗せられたくらいで胸が高鳴ってしまう。

 今すぐ寝殿に連れ込んで組み敷きたい欲求と戦っているほどだ。

「さて、残りはあとで頂くとする。琴禰にかっこいい姿を見せねばいけないからな」

 煉魁は重箱の蓋を閉め、風呂敷で巻いた。