宮中は広すぎていまだに把握しきれていない。花嫁修業の時に教わった宮中の地図を、頭の中で必死に思い出し、なんとか辿り着いた。

広大な用地に、多くの衛兵が鎧を着て、剣の稽古をしていた。

特別な力を持っているのに剣を扱うのかと不思議に思って見ていると、どうやら剣に力を込めると一太刀で建物を斬れるほどの威力を出すことが可能らしい。

祓魔も式神を使うので、力の弱い者ほど道具を用いた方が、力の発現を自在に操れるのだろう。

(祓魔も元は、罪を犯したあやかしが、人間と交わったことで特別な力を持つことができたから、発力源は同じなのかもしれないわね)

 起源が一緒なら、琴禰にも、あやかしの力が使えるようになるかもしれない。

 料理をする時になど便利なので使えるようになりたいが、力は一向に目覚める気配はない。

 そんなことを考えながら見ていると、空を飛ぶように跳ね、まるで華麗な踊りを舞うかのように剣を操る者が現れた。

 薄い紫を帯びた白地の着物が天女の羽衣のように宙に舞い、豊かな銀色の髪が靡いていた。