日の光が差す絢爛豪華なあやかしの宮中を歩いていると、琴禰の存在に気が付いた、あやかし達が足を止め、にこやかな笑顔で会釈してくれる。

 こんな日が来るなんて、まるで夢のようだ。どこに行っても邪魔にされ、疎まれ、排除される。

にこやかに挨拶をされるたび、ここにいてもいいと言われているようで、感謝の気持ちが湧き上がってきて泣きそうになるのだ。

琴禰が滅ぼした祓魔の村は、復興に一苦労しているらしい。

というのも、最も頼りになる大巫女と、祓魔四人衆は記憶がないので何もできない。他の者達も祓魔の力が消えてしまったそうで、ただの人間と変わらなくなった。

祓魔の特別な力があるから富を手に入れていたのに、それがなくなってしまったので地道に村づくりをしていくしかないからだ。

それを聞いても、琴禰は心を動かされなかった。もう終わったことだ。

彼らがどんな生活をしていても、琴禰にはもう関係のないことだと思った。

琴禰の居場所はあやかしで、この地で一生生きていくと決めた。それが琴禰にとって最大の幸せである。


宮中の端にある大きな練兵場で、煉魁が衛兵の鍛錬に付き合っていると聞いた琴禰は、そこに向かっていた。