「それにしても、あやかしというのは様々な方がいらっしゃるのですね」

 見た目にしても、力の強さにしても、色々だった。

「そうだ。庶民の寿命は人間より少し長いくらいじゃないか?」

「そうなのですか⁉」

 琴禰は驚愕して聞き返した。

「力の強さによって寿命も変わる。例えるなら、木を想像してみてほしい。樹齢何百年も誇る大木もあれば、数十年で朽ちる木もある。場所によっても寿命は変わる。あやかし国の中で最も力が強い場所が宮中ゆえ、宮中にいるだけで寿命が延びる」

「肥料が違う、みたいなお話ですか?」

「土地の力の強さもあるし、強大な力を持つ者の側にいるだけで生命力が増す。だから、琴禰も人間ではあるが、宮中に住むあやかしと同様に長く生きられるだろう。そもそも、元から持っている力も強いしな」

「でも煉魁様。私は血の契約によって力が暴発した日からまったく力が使えなくなってしまったのです。失われたのではないでしょうか?」

 琴禰は少し心配そうに言った。

「いや、眠っているだけだ。また必要な時が来れば力は戻るだろう」

 煉魁の言葉は、まるで大巫女の予言のように聞こえた。