そしてその者の子孫が祓魔であり、特別な力を持つことになった。また、祓魔が、あやかしを憎むのは、大罪を犯して迫害された恨みが残っているからだと言われている。

(真実というのは、自分の目で見るまで分からないものなのね)

 知らなかったことを学ぶことは楽しい。祓魔では、あまり外に出してもらえなかったので、学ぶ機会が乏しかった。

 読み書きはできるが、ほとんど独学に近い。琴禰は水を得た魚のようにどんどん吸収していった。

 そんなある日のこと。

 煉魁は、都の大路にある(つじ)(いち)を探索してみないかと琴禰を誘った。

「行きたいです!」

 琴禰は目を輝かせて返事をした。

「よし、では目立たないように平民の服装に着替えて出発しよう」

 まるで変装してお忍びに行くようで、琴禰は胸を躍らせた。

 実際のところ、その通りなのだが、煉魁はあえて言う必要はないだろうと思った。

 気構えてしまって楽しめなくなるのは可哀想だと思ったからだ。

 琴禰は麻の青緑色の着物に、髪を三つ編みに結んで上から領巾(ひれ)のような頭巾を被った。