そして、閣議決定の末、結婚式と披露宴は約一ヵ月後に行われることとなった。

 その間に、琴禰は専門の教師が数名つき、あやかしの文化や歴史、礼儀作法について学ぶこととなった。

 あやかし国の実態は、祓魔で聞いていたこととまるで違っていた。

 あやかし国が厄災を落としていると聞いていたが、実際は妖魔が人間界に入り込まないように見守っている役割をしていることを知った。

 そしてあやかしは、天上(神々の住居(すまい))と中つ国(人間の住居)と黄泉(妖魔の住居)から独立しながらも、それらを併せ持った中間的な存在なのだという。

 だから、あやかし国は、淡くおぼろげな彩雲の上に建っているのである。何物にも染まらず、何者でもない。そんな不確かで神秘的な存在があやかしなのである。

 異国の文化を学ぶのかと身構えていた琴禰だったが、ほとんど日本文化と変わらなかったので拍子抜けした。

 というのも、はるか昔に大罪を犯して人間界に落とされた、あやかしがいたのだという。そのあやかしが、農村地帯で未開発だった日本にあやかしの文化を取り入れて発展させたのだ。