「煉魁が全て悪いことは知っている。どこで育て方を間違えたのか、傍若無人の自信家になってしまって、皆が振り回されている。すまないね、琴禰さんも苦労をしているだろう?」

「いいえ、とんでもないです。煉魁様はとても優しく仲間思いの男気のある御方です。恐縮してしまうほど私を大切にしてくれています」

 琴禰は優しく微笑んだ。褒められた煉魁は満更でもないらしく嬉しそうだ。

「互いをとても思い合っているのが伝わってくるよ。煉魁は素晴らしい女性と結婚したのだね」

 大王の言葉に、琴禰と煉魁は驚いて目を見開いた。

 人間と結婚したことを怒っていると思っていたからだ。

 怒鳴られるのを覚悟してきたので、まさかの好意的な反応に面食らってしまう。

「私は煉魁に幸せになってほしかったのだよ。これで安心して逝ける」

「父上、縁起でもないことを」

 煉魁が諫めると、大王は口を大きく開けて豪快に笑った。

「ははは、いよいよもう駄目かと思っていたが、二人のことを知ったら自然と元気が湧いてきたのだよ。まだしぶとく生きられそうだ。琴禰さんのおかげだよ」

「勿体ないお言葉です」