(厄災、私は、厄災……)

 まるで津波や竜巻、稲妻などありとあらゆる天災が落とされた後のように、村は壊滅状態だった。

『あの者が祓魔一族を滅亡に導くだろう』

 大巫女の予言の言葉を思い出す。

 まさにその通りとなった。

 祓魔は滅亡した。琴禰の力によって。

 そして厄災は、あやかし王の犠牲によって生き残った。悪夢のような結末だ。

「煉魁様、こんなの嫌です。私はあなたを守りたかったのです。煉魁様が生きて笑っていてくれたら、それだけで私は幸せだったのです」

 煉魁を抱きしめ、子どものようにしゃくり上げながら泣いた。

 煉魁は人形のように白く整った顔立ちを崩さずに目を閉じていた。

「ずっと側にいるって言ったじゃないですか。私を置いていかないでください」

 胸が苦しく息ができない。

 煉魁がいない世界で、たった一人生き延びたところで、何があるというのだ。

 それならせめて一緒に逝きたかった。

 どうして、どうして、どうして。

 琴禰が生き残ったところで、誰も喜ばないのに。自分自身でさえ望んでいないのに。

 耐えることができない胸の苦痛に押しつぶされ、頭が真っ白になり体から力が抜けていく。