「要はお前を動けなくして寿命が尽きるのを待てば良いのだ」

「そんなことをしていいと思っているのか⁉ 僕の意思一つで琴禰の命はないのだぞ!」

 すると煉魁は見下すように微笑んだ。

「動けなければ術を使えないのだろう、お前は」

 澄八は目を見開いて、青ざめた。

「意思一つで発動ができるのであれば、人間界に降り立った瞬間に発動していたはずだ。しかし、お前はしなかった。小賢しく慎重なお前が発動を遅らせた理由は、術を使えなくなっていたから。その腕の怪我のせいだ、違うか?」

 幼稚で愚かな王だと侮っていたが、全てを見破られていたことを知った澄八は、悔しさに歯を食いしばった。

「それに、お前が嘘をついたとき、村人たちは俺から視線を外した。実にわかりやすい」

 村人たちが逃げないように結界を張っていたのはそのためだったのかと澄八は驚いた。

 能ある鷹は爪を隠す。賢い者ほど普段は愚かに振る舞うものだと思い出したが、後の祭りだ。あやかし王は澄八より、一枚も二枚も上だった。