「何をしているのですか!」

 琴禰は顔面蒼白になりながら言った。

「琴禰が諦めるまで、ここから出ることを許さない」

 とてつもなく強力な結界だ。琴禰の力の強さは分かっているので、念には念を入れて何重にも見えない結界を張っていく。

「やめてください! 私は行かなければいけないのです! ここにいてはいけないのです!」

 澄八と人間界で落ち合う約束でもしていたのだろうか。

 琴禰の焦りようは緊迫していた。

「今後はここに入れるのは俺だけだ。逃がす者が現れては困るからな」

「煉魁様お願いします。ここから出してください」

「早く諦めることだな。仮にここから出られるようになったとしても、あやかしの国からは出られないぞ。永遠に」

「煉魁様! れん……」

 琴禰の言葉を遮るように、煉魁は部屋から出て行った。