琴禰は一枚の文を手にしながら、思案に暮れていた。
庭園の片隅で腰をおろしながら、一人ぼうっと空を見上げる。風がさやさやと草木を揺らしていた。
文にはこう書いてあった。
『今夜、白木蓮の木の下で待っている。澄八』
まるで恋人同士が逢引きするような内容だ。
澄八は、あやかし国にいるにも関わらず、会うことはほとんどなかった。
一つは琴禰があまり出歩かないからという単純な理由と、煉魁が澄八を琴禰に近づかせないようにしていたためだ。
澄八は王の宮殿には立ち入るどころか近寄ることさえ禁止されているにも関わらず、あやかしの警備をかいくぐって琴禰に文を届けに来たのである。
いつものように庭園の手入れをしていた琴禰の前に突然現れ、文を手渡して颯爽といなくなってしまった。
そんな状態で渡されたので、内容を断ることもできず琴禰は困っていた。
(夜に一人で出歩いたりしたら煉魁様に不審に思われる)
不審どころか過保護な煉魁は、心配して付いてきてしまうだろう。
庭園の片隅で腰をおろしながら、一人ぼうっと空を見上げる。風がさやさやと草木を揺らしていた。
文にはこう書いてあった。
『今夜、白木蓮の木の下で待っている。澄八』
まるで恋人同士が逢引きするような内容だ。
澄八は、あやかし国にいるにも関わらず、会うことはほとんどなかった。
一つは琴禰があまり出歩かないからという単純な理由と、煉魁が澄八を琴禰に近づかせないようにしていたためだ。
澄八は王の宮殿には立ち入るどころか近寄ることさえ禁止されているにも関わらず、あやかしの警備をかいくぐって琴禰に文を届けに来たのである。
いつものように庭園の手入れをしていた琴禰の前に突然現れ、文を手渡して颯爽といなくなってしまった。
そんな状態で渡されたので、内容を断ることもできず琴禰は困っていた。
(夜に一人で出歩いたりしたら煉魁様に不審に思われる)
不審どころか過保護な煉魁は、心配して付いてきてしまうだろう。