今度は撞木で鐘を鳴らすように思いっきり頭を打ち付けられたかのような衝撃が煉魁を襲う。

 自分で聞いておきながら毎度自爆している。

「あの、でも、その時はあの人のことをよく知らなかったのです。表面的なものしか見てなかったというか、そこまで多く話すこともなかったですし」

 ショックを受けている煉魁に、必死でフォローしてくれているのは分かるものの、初恋やら片思いやらは否定しないので、その優しさが心を抉る。

 煉魁は自らを立て直そうと、琴禰の作ってくれた御膳を勢いよく平らげた。

「あいつには料理を作ってやったことはあるのか?」

「いいえ、家族にだけです」

 煉魁は心の中でよし、と喜んだ。

「では、手を繋いだことは?」

 煉魁は琴禰の手に触れ、指先を絡めた。

「ないです。触れたことすらありません」

 煉魁は甘美な色気を含んだ瞳で琴禰を見据え、手を握っていない方の手で、琴禰の唇を撫でた。

「では、口付けしたことは?」

「あるわけがありません。だから、そのような関係性では……」