ほとんど力が回復してきた今では分かる。琴禰の力は強すぎる。異常ともいえる。

 力の強い宮中のあやかしでさえ倒せるほどの力を持った人間など聞いたことがない。

 祓魔は人間界でも特別な一族だと知ってはいたが、それにしても強すぎる。

 琴禰は一体、何者だ?

 琴禰から、辛い過去のことは聞いてはいたけれど、もしかしたらもっと深い何かを抱えているのかもしれない。

 それが何か琴禰に聞いてみたいとは思うが、辛そうな琴禰の顔を見ると、かわいそうでとてもそんなことできない。

 となると、聞けるのはただ一人。あやかしに入って来たあの男だ。

 いけ好かない奴だが、琴禰の過去を知る人物だ。何かを知っているに違いない。

 煉魁は眼光を鋭くさせ、起き上がると、鍛え上げられた体に着物を羽織った。


 煉魁は、まずは人間の男がどんな人物なのか遠くから探ってみることにした。

 男はまだ体力が回復していないにも関わらず、積極的に外に出て宮中内を探索しているようだ。