春夏秋冬の草花が描かれている襖仕立ての鏡面から、朝日が差し込んでいた。

 煉魁は目覚めると、頭だけ持ち上げ頬杖をつきながら、隣でしどけない姿で眠っている琴禰に目を落とした。

 長い髪の毛から少しだけ見える、白く艶やかな肌。

 毎夜堪能しているにも関わらず、目に入ると欲情してしまう。

 疲れたのか、ぐっすり眠る琴禰の頭を撫で、こめかみに口付けを落とす。

 琴禰の最近の様子がおかしい。だが、原因は分かっている。

 あやかしの国に入ってきたあの優男のせいだ。

 あいつは一目見た時から気に食わなかった。理由は分からない。強いて言うなら男の勘だ。

 さっさと放り出してやりたいところだが、琴禰にお願いされては無下にはできない。

 琴禰が望むことなら、何でも叶えてやりたい。それが、自分の本意ではなかったとしても。

 それと、もう一つ、気になることがある。琴禰の強すぎる力についてだ。

 出会った当初は文字通り力尽きていたので分からなかったが、琴禰の潜在能力はそんじょそこらのあやかしよりも強い。