澄八が宮中に案内されると、あやかし達は不満を露わにした。

 次々とやってくる人間たち。あやかし王は何を考えているのだと呆れていた。

 そして澄八は、以前琴禰が使っていた客間に、しばらくの間住むことになった。

 人の良い笑顔で、腰の低い澄八は、侍女たちから好意的に思われるのも早かった。

 顔立ちも良いせいか、好意的を通り越して、チヤホヤされ始めている。

 そして、不満を露わにしていた男性たちからも、悪い奴ではないようだと受け入れられてきた。

 澄八のコミュニケーション能力の高さに琴禰は圧倒されてしまうのだった。

 すでに宮中内を歩きまわり、あやかし達と親しそうに挨拶を交わす澄八を物陰からこっそり見ていた琴禰は、自分の社交性の低さに人知れずため息を漏らした。

(なんだかすっかり打ち解けている。私が皆に受け入れてもらえないのは、人間だからではなく根暗なのがいけないのかしら)

 琴禰の方が先にあやかしの国に来たのにという嫉妬心で、胸が小さく痛む。