煉魁と琴禰の結婚生活は順調そのものだった。

 互いに愛し愛され、幸せな日々を送っていた。

 琴禰はしばらくの間は寝殿(と煉魁が呼ぶ宮殿)から出ずに過ごしていたが、最近では庭園に出るようになった。

 何をしているのかといえば、庭の手入れだった。

 こうやって徐々に宮中の宮中を掃除し始めるのではないかと侍女たちの噂の的になっている。とても良く働くので、ここだけの話、助かっているらしい。

「琴禰はよく働くなぁ」

 無心で草むしりをしていると、後ろから甘い低音の声が降ってきた。

 驚いて振り返ると、そこには呆れるように微笑む煉魁の姿があった。

「はい、楽しいです!」

 泥がついた雑草を片手に満面の笑みで返事をする。鼻と頬には黒い泥がついていた。

 煉魁が思わず笑ってしまうと、琴禰はキョトンとした顔になる。その顔がさらに間抜け具合を引きだしている。

「本当にお前は、可愛すぎるだろ」

 煉魁は袖で琴禰の顔についた泥を拭いてやった。