「…で?どんな関係?」

現在、私は尋問を受けてる最中です。

「どんな…?絡まれたのを助けてくれた、救世主…かな。」

「救世主?」

「うん。私が知らない男の先輩に襲われてる時に助けてくれたんだ。」

「…でも、原因はあいつなんじゃねーの?」

「?」

「だって一緒に居た女…柊木裕子だろ?」

「え?うん。」

「じゃあやっぱりそうじゃねーか。」

「彪牙くん、知ってるの?」

「当たり前だ。あいつは学校内の熱狂的な喜多川ファンの中でも五本指に入るほどのやばいやつだぜ?まあ、半分、喜多川に同情してる。」

そ、そんなに…?

「あんな女に学校外まで付きまとわれるとか、喜多川のストレスやばいんじゃね?」

もしやこれって…す、ストーカーってやつなんじゃ…

喜多川先輩…大丈夫かな?

「って、そんな話をしてんじゃねーよ。あいつがどんなヤツか分かってんのか?」

どんなやつって…

「すごくモテる優しい先輩?」

「ちげーよ。」

ん?じゃあどういう…

「あいつは喜多川グループの若頭だ。」

「き、たがわ、…?」

喜多川グループって確か…東区を拠点にしてるヤクザ、、

「そ、うなの?」

「ああ。」

「っ!すっごいんだね!喜多川先輩って!」

「は?」

「私、初めて会ったよ〜。だからあんなに強かったのか〜。なんか、納得したよ!」

「…お前。相変わらずその楽観的な性格はどうにかなんねぇのか?」

ら、楽観的? 私が…?

「そうかなぁ?」

「ああ。」

「どうにかって…」

私にも分からないんだから無理だよね…

「あー、ごめん。悩ませるつもりじゃなかったんだ。」

「、、」

「それがお前の魅力だよ。な?」

なんか取ってつけたような言葉で嫌だなぁ。

「あれ?美羽ちゃんじゃん。こんなところで何してるの?」

「…喜多川先輩…?」

「美羽ちゃん…?どうして泣いてるの?」

「えっ?泣いて?私が?」

頬が濡れている…

、、ほんとだ、気づかなかった…

きっと彪牙くんに私の性格を否定されて悲しかったんだと思う。

スゥ

「えっ?」

喜多川先輩…何で?

「大丈夫?悲しかったね。ごめんね僕も何で美羽ちゃんが泣いてるのか分からないけど、話だけなら聞くよ?」

「喜多川先輩…っ!」

「よかったら俺と一緒に来て。」

はい…。私も喜多川先輩と一緒にいたい。

「なっ!おい!待てよ、美羽。」

「ごめんなさい。今は…彪牙くんとは一緒にいたくないの。」

「じゃあ、行こっか美羽ちゃん。」

「はいっ!先輩!」

「な!おい!クソ…邪魔しやがって。俺の美羽に近づいたこと後悔させてやる。」

「…」






「ここって。」

「そう、屋上。」

「で、でも入れないんじゃ…?」

「僕は特別。」

特別っ!

「すごい!」

「…ねぇ美羽ちゃん。何があったの?」

「あの…先輩は私の性格…どう思いますか?」

「性格?」

これで先輩にも楽観的って言われたら、…納得しよう。

「んー、そうだね。」

「一言でいうと…無邪気。かな?」

む、無邪気?

「そ。明るくて素直で優しい…最高の性格だよ。美羽ちゃんは。」

最高っ…?

「でも、どうしてそんなことを聞くの?」

「実は…さっき彪牙くんに私が楽観的過ぎると注意されてしまって……。先輩…。私はそんなにダメな性格何でしょうか…」

「美羽ちゃんが楽観的?あ、もしかして僕の話をしてたんじゃない?」

えっ?

「どうしてわかったんですか?」

「ん?なんとなく?」

なんとなくっ?

「ねぇ、美羽ちゃん。その彪牙くん?に何を聞いたの?」

あれ?喜多川先輩…雰囲気が変わった?

「えーと、先輩が喜多川グループの若頭ってこと?ですか?」

「ふっ、やっぱりそうか。」

先輩?

「彪牙くんは美羽ちゃんの身を案じたんだよ。」

私の身…?

「だってヤクザだよ?普通は心配するじゃん。」

「でも、喜多川先輩は恩人で…」

「美羽ちゃん。もう、俺とかかわるのはやめよう。」

なっ!

「どうしてですか!?」

そんな…やっと話すことができたのに…

「い、嫌です…。」

「……。美羽ちゃん。」

「なんでですか!?私達まだ会ったばかりですよ!」

そんな…今離れるなんて嫌だっ!

「…俺と関わったら、いつ死んでもおかしくなくなるだよ?」

死ぬ…?

「美羽ちゃんの知っての通り俺はヤクザ。それは事実。だから若頭の俺を狙おうって思うヤツは少なくないんだ。美羽ちゃんを危険にさらすわけにはいかない。」

喜多川先輩…もしかして私のために?

「…先輩。」

「俺…ね。怖いんだ。俺のせいで大切な人が死ぬのが…。」

「先輩。言ってなかったと思いますが…私の父の実家もヤクザです。」

「えっ?」

「霧崎グループっていう名前です。」

「…霧崎グループ。北区を拠点にしてるグループ…か。宝石専門…だったっけ?」

「はい、それです。」

「だから、身近に命の危険があるのは先輩だけじゃありません。私もです。お互い毎日命を狙われてる同士です。これなら一緒に居ても問題ありませんよね?」

そう、私も常に身を狙われてる身。

「ふー、俺の負けだよ…美羽ちゃん。じゃあ、これからもよろしくね。俺は何があっても美羽ちゃんを守るよ。」

「ふふ。ありがとうございます。」

「なんで、笑うんだよ、」

プイっと効果音が付きそうなくらい拗ねてしまった

可愛い。

よしよし

「なっ、俺を子供扱いすんじゃねーよ。」

「はーい。ごめんなさい。」

それに、

「こういう話になると一人称が僕から俺になるんですね。」

すると喜多川先輩は「はっ!」という表情になってビックリしていた。

「ご…めん。ぼ、俺。キモいよね。」

え?

「どうしてですか?」

どうして先輩がキモいの?

「えっ?どうしてって…」

「私はどんな先輩でもいいですよ。」

これは、私の心からの本音。

「ふぅー、ホント美羽ちゃんには頭が上がらないね。」

なんか、嬉しい!

「ふふ!」

キーンコーンカーンコーン

あ…

「予鈴…鳴っちゃったね。帰ろっか。」

「うん…」

なんか寂しいな…。また、会えるよね?

「先輩…また会ってくれますか?」

「…もちろんだよ。」

「ありがとうございます!」