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 翌日の日曜日に親友の凉々花と会い、カフェでランチを食べながら美容院での出来事をすべて話した。

「で、その高級なシャンプーを買って帰ってきたわけね。別に張り合わなくてもいいじゃないの」

 凉々花が心底あきれた表情をして、ホイップクリームがたっぷりと乗ったパンケーキをフォークで突っついた。

 凉々花には交際して二年になる彼氏がいるからか、恋愛の話になると私にはない余裕のようなものを感じる。
 彼氏は今も付き合い始めたころのまま凉々花にベタ惚れで、誰もがうらやむ理想のカップルなのだ。
 私もそんな激甘な恋愛がしたいと、常々うらやましくなるくらい。

「シャンプーを一番多く買った人が恋人になれるわけじゃないんだし」
「だって……なんとなく、負けたくないって思っちゃったの」
「アンタらしくない」

 凉々花の言うとおりだ。シャンプーの購入で張り合っても意味がないし、らしくないそんな行動を取った自分に私が一番驚いている。

「たしかにカラーは軽やかさや透明感がプラスされて、今までよりイケてる髪色になってるね」
「でしょ? 快永さん、センスいいよね。ちゃんと私に合うオレンジブラウンにしてくれた」

 家に帰ってからじっくり鏡で観察したけれど、地味な私でもずいぶんと垢抜けた印象になったと思う。