謝った、彼女が。
 凪紗に。


 そのとき。
 思った、凪紗は。





 彼女のこと。
『許す』か『許さない』か。

 その二択でいうならば。
『許さない』だろう。


 だけど。

 決められる、簡単に。
 その二択で。

 そういうものでもない。



 ただ。

 決して、してはいけないこと。

 嫉妬心からくるもの。

 それだからといって。
 犯人に仕立て上げる。
 そういうことは。







 悩んだ、凪紗は。
 彼女にどう返答すればいいのか。


 悩んで悩み……。

『もういいよ。
 正直に謝りにきたわけだし。
 ……ただ、これだけは言わせてくれ。
 世の中には思い通りにならないことはたくさんある。
 世の中のほとんどの人たちが、そういう思いをしているだろう。
 それでも、その人たちは必死に生活している。
 そのことだけは忘れるな』

 凪紗は彼女にそう伝えた。



 そのとき。
 凪紗のブレスレットが緑色に。












 そして、その後。

 クラスの雰囲気は。
 戻っている、普段通りに。










 それから。
 演劇の主役は。
 凪紗に返り咲いた。





 凪紗が。
 休んでいる、学校を。

 その間、彼女が主役に抜擢された。



 だけど。

 凪紗が。
 戻ってきた、学校に。

 そのときに。
 申し出た、彼女の方から。
 主役を降りることを。


 そのことを聞いた凪紗は言った。
 主役は彼女でいい、と。

 だけど。
 彼女の主役を降りる意思。
 それは変わらなかった。







 こうして。
 進めている、演劇の準備を。
 凪紗とクラスメート全員で。















 これが凪紗の近況報告。