「あっ‼」


 入った、現実の世界に。

 その瞬間。
 スッと消えていった。
 私たち五人が身に付けているブレスレットが。



 私たち五人は繋いでいる手を離し。
 振り向いた、後ろを。


 そこには。
 見えなかった、もう。

『心が呼吸できる世界』と現実の世界。
 二つの世界を繋ぐ真っ白に光る出入り口は。


「見えない……な」


 まずは。
 凪紗が口を開いた。


「あぁ……」


 次は空澄(あすみ)


 私と心詞(みこと)と響基は。
 頷く、静かに。



「そういえば、
 私ら全員のブレスレットが緑色になってたっていうことは、
 お前らが抱えている問題も解決の方へ向かってるってことだよな」


「まぁ、そうだな、
 良い方へは向かっているだろうな」


 凪紗の言葉に。
 そう返答した、空澄。


 私と心詞と響基も。
 頷く、深々と。


「なんかさ、すげぇ余韻が残ってるし、
 今日の学校のことも含めて、
 いろいろ話したいこともあるけど、
 明日も学校があるし、
 詳しいことは近いうちにということでどうだ」


 空澄の言葉に。
 私、凪紗、心詞、響基は。
 頷いた、大きく。


「それからさ、
 俺たち、こうして仲良くなることができたから——」


 空澄が言うこと。

 もう、わかっている。


 私も。
 思っているから。
 空澄と同じことを。

 それは——。


「連絡先交換しよ」


 私や空澄だけではない。

 凪紗、心詞、響基も。
 同じ思い。


 全員ほぼ同時だった。
 その言葉を言ったのは。



 こうして。
 私たち五人は連絡先を交換し。
「連絡する」
 そう言い合い。
 帰っていった、それぞれの家に。