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「それじゃあ、
私はここまでしか送ることができないから」
『心が呼吸できる世界』と現実の世界。
二つの世界を繋ぐ出入り口の前。
「空澄くん、響基くん、
心詞ちゃん、凪紗ちゃん、彩珠ちゃん、
卒業おめでとう」
惺月さんのお祝いの言葉。
私たち五人は。
お辞儀をする、惺月さんに。
「ありがとうございます」
そう言って。
「私、思うの。
あなたたち五人は運命で繋がっていると」
『運命で繋がっている』
惺月さんの言葉を聞いて。
思った、すぐに。
その言葉。
すごく良い、と。
「同じ部屋のあなたたち五人が一緒に卒業できる。
そのことは稀なことなの」
『稀なこと』
続いて惺月さんの言葉を聞いて。
『そうなのか』
そう思った。
「同じ部屋にいても、
必ずしも一緒に卒業できるとは限らないから」
確かに。
どんなことでも。
ある、個人差が。
それと同じで。
心の状態が。
向かう、改善の方へ。
それも。
ある、個人差が。
「だから思うの。
あなたたち五人は運命で繋がっている。
そう思うと、とっても素敵だなって」
私も。
同じ思いです、惺月さんと。
『素敵だな』
そう思います。
「『運命で繋がっている』、
良いですね、その言葉」
思っている、空澄も。
私と同じようなことを。
そのことが。
嬉しい、ものすごく。