「そろそろ時間ですが、
 もう少しだけ話をさせてくださいね」


 惺月さんの話。

 最後なんだ。
 これで本当に。


「あなたたちは感情や気持ちをコントロールすることができるようになり、
 さまざまな逆境や困難を解決する方へ導くことができる能力を身につけることができました」


 惺月さんの言葉。


「それは、あなたたちが一回りも二回りも大きく、
 そして強くなり成長することができたという証なのです」


 一言一言を。


「ただ、
 今、抱えている苦難や困難を解決することができたとしても、
 また新たな苦難や困難に苦しめられることがあるかもしれません」


 しっかりと心の中に。


「だけど、あなたたちなら、
 きっとそれらを解決し乗り越えることができると思います」


 ずっと。
 ずっとずっと。


「だけど、辛くて苦しくて限界になりそうなとき、
 他の道を歩んで行ってもいいのだということは忘れないでください」


 大切に——。



 惺月さんの最後の言葉。

 それは。
 私、空澄(あすみ)、凪紗、心詞(みこと)、響基。
 五人の心の中にジンと響き渡った。