「今さら言っても晩過ぎるのは、わかっているけど、
 今まで本当にごめんね……彩珠(あじゅ)


 聞いた、初めて。
 真碧(まみ)さんの口から。

『彩珠』と。


 私から視線を逸らしていた真碧さん。

 そんな真碧さんの視線が。
 向いた、私に。


「私の方こそ、
 ごめんね……真碧。
 真碧の苦しみに気付くことができなくて」


 苦しんでいた、真碧は真碧で。

 抱えてきたんだ。
 私の苦しみ。
 それとは違う苦しみを。


 謝り合った、私と真碧。

 そのあと。
 加織、桃萌(ともえ)、純菜も。
「本当にごめんね、彩珠」
 そう言って。
 滲ませた、目に涙を。



 やっぱり。
 大切なんだ。
 話をすること。

 そうすることで。
 減らすことができる、確実に。
 誤解やすれ違いを。


 これからは。
 どんなに些細なことでも。
 していきたい、言葉にするように。