「世の中には勝者や敗者なんていないよ。
　それぞれの人たちが、それぞれの道で頑張っている」


　私の言葉。


　伝わる、すぐに。
　お父さんに。

　そうは思っていない。


「だけど、
　悲しいことに、
　その中で強い立場の人たち弱い立場の人たちが存在してしまう。
　でも、それは勝者や敗者ではないんだよ。
　それなのに現実問題、弱い立場の人たちが
　苦しくて辛い思いをしていることが多い」


　お父さんの考え方。
　好きではない、はっきり言って。


　だけど。
　生きている。
　お父さんは、お父さんの考え方で。


「だから私は、
　そういう人たちに寄り添うことができるようになりたい。
　そんな人に私はなりたいと思っている」


　自分の考え方。
　全て、それが。
　そう思って生きている、お父さん。

　ある、別の考え方も。
　受け入れる、それを。
　できないのかもしれない。
　そういう父親(人)だから。


「お父さんはお父さんの考え方があるから、
　すぐには理解できないかもしれないけど、
　私のような考え方もあるということだけは認識していてほしい」


　それでも。
　わかってほしい。
　時間をかけてでも。

　人数分だけ。
　ある、考え方の種類も。
　そういうことを。