「……っ……」

今もなお俺の墓の前で号泣する芽生を見ると、昔と変わらず泣き虫だなと笑いそうになる。

今すぐにでもそっちに行って抱きしめたいけど、それができないのがもどかしい。

「守くんと過ごした1年間。短かったけど、私、本気で守くんのこと愛してたよ」

泣きながらも少し照れくさそうにふわりと笑った芽生。

彼女は、いつだって気持ちをストレートに伝えてくれた。

なのに、俺は芽生にちゃんと伝えたことないじゃんか。

こんなことになるならば、芽生の話ちゃんと聞いてあげればよかった。

スマホしてばかりじゃなく、芽生だけをしっかり見てれば良かった。

些細なことでケンカして数日間ろくに口聞かなかったこともあった。

ほとんど俺が悪いのに、「ごめんね」と先に謝るのは彼女だった。

休みの日でもよく連絡くれたり、手を繋いだだけでとても嬉しそうに笑ってくれて、「好きだよ」ってちゃんと言葉にしてくれた。

あの日も「第2ボタン欲しい」と卒業式が終わったあと俺のところに来てくれた。

こんなにも想ってくれてる彼女に、「ありがとう」って言葉じゃ足りないくらい感謝の気持ちをたくさん伝えれば良かった。

恥ずかしがらずに「好きだ」とちゃんと伝えれば良かった。

生きているうちに。

いなくなってからじゃあなにも伝えられないじゃねーか。

自分に対して怒りが込み上げてくる。

だけど、今更後悔しても、あの頃にはもう戻れない。

「……泣かないつもりだったのにな。これじゃあ、いつまで経っても泣き虫だって思われちゃうかな」

指でそっと涙を拭いながら自嘲する芽生のことを黙って見る。

やっぱり、泣いている顔なんて芽生には似合わない。

いつまでも俺を想って泣かなくていい。

生きてることに後ろめたさを感じなくていい。

芽生は助かったんだ。

だから、精一杯生きろ。

そして、たくさん笑え。

それが俺の1番の願いだ。