肩透かしを食らった気分になりながら、背中を椅子の背もたれにぐーっと伸ばす。



「もう、びっくりしたあー…。危機が訪れる!みたいな流れだったのに…」


「ええー?そうだった?ごめんごめん」



なんて言いながらも、実帆ちゃんは表情がゆるゆる締まっていない。


ごめんごめん、が軽いもん。


よっぽどそのイケメンさんに会えるのが楽しみみたいだ。



「嬉しそうだね」


「そういう莉乃は反応無さすぎだよ。もっと楽しそうにして!」


「ええー…?」


正直楽しみでは、ある。だけど。


私はもう、これ以上人と関わるのがこわいというか。

もともと人見知り、なんだけど。


もしも、その人がフォークだったら……なんて。


暗い感情が頭を支配する。
もやもやと心まで広がるように。


ああだめ。ぜんぶ良くない方向に考えちゃってる。

ふとしたときに、底のない不安に呑み込まれてしまいそうになる。