「そんな呑気に入ってる場合じゃないよ実帆ちゃん、私今日が命日かもしれない」
「うどんの麺伸びるよ?」
「もうそれどころじゃない……」
消え入りそうな声と共に両手で顔を覆う。
食欲がなくなっていく側で目の前に座る彼女は、ずぞぞっと美味しそうな音を立てながらラーメンを食べていた。
いい食べっぷりで、見てるこっちが気持ちいい。
私もやっぱり食べたくなって、割り箸をパキリと割った。
実帆ちゃんは一口食べたあと、ごくんと飲み込んで。
「まあ、私も最初は『莉乃が透夜様と付き合う!?うそでしょ!?』って疑ったけどさ」
「う、」
「もう堂々と構えとけば?どっしり。『彼女ですが何?』みたいな!」
「実帆ちゃん楽しんでない?」
「まっさかあ。莉乃可愛いから大丈夫だって!」
この時に聞く"かわいい"ほど不安なものはない。