「……ずいぶん不味そうな顔してんね」


「……女子に向かってそれは失礼なんじゃないの」



反射で言い返したけど、たしかにそうだと思う。


今の私は、血色が悪そうな肌に、目の下には大きいクマ。


ぱっと見で、不健康そうな見た目。



「…こうしたらすぐには食べられないかなあ、と」


「ばか」


「っな……」



手が顔に添えられた。

ぐし、と目の下のクマをこすられる。



「あー…これ化粧じゃねーんだ」


「…自然物、です」



肌はさすがにメイクだけど、と言葉を付け足す。



……昨日は一睡もできなかった。



そりゃそうか。
だって自分が明日には死んでしまうかもしれない存在と知ったのだから。


怖くて、恐くて。


それに……。


首筋あたりをそっと撫でる。

まだ、残ってる感触。
忘れられない、あまい痛み。



眠りにつこうとすると、それを思い出して寝れなかった。