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「柚原さん今日もお疲れさま。もうここ閉めるから、帰っていいよー」
「はい、手伝います」
「いいのいいの、いつも遅くまで残ってもらってありがとうね」
司書さんと図書室を出た私。
ひとりで先に変えるのは気が引けたため、粘って一緒に施錠した。
普段だったら司書さんは図書室をでて左、私は右、と別々になるはずなのに今日は入口の扉でピタリと止まる。
「そういえば柚原さんっていつも放課後残ってくれてるよね?それはめちゃくちゃ嬉しいんだけど……家族が心配しない?」
ほら、結構遅い時間でしょ?と言われて窓の外を見ると、もう日が暮れていた。
たぶん、ただ心配してくれただけ。それ以外あるわけない。
だけど私には、胸に少しの鈍い痛みが走った。
「いえ、ぜんぜん大丈夫です」
ぱっと条件反射のように作られた笑みは、夕日で気づかれていないはず。