「先生。私、先生のことが大好きなの。 誰よりも、先生のことが大好きなの」

「いや……そんな、突然そんなこと、言われても……」

 俺は……一体、どんな反応をすればいいのか分からない。
 こういう時は、どうしたらいいのだろうか……。



「先生、私、二十歳になったの。 だからね、私と結婚してほしい」

「ん……?」

 今、矢薙に「結婚してほしい」って言葉を言われたような気がしたんだが……。

「先生と……結婚したいの、私」

「え……。えっ!?」

 け、結婚……?! 俺と……結婚?!

「おい。冗談……だろ?」

「本気で言ってるよ、私。 先生と結婚したい」

 ま、マジ……か。

「もう二年待った。 待って、二十歳になった。だから、先生にプロポーズした」

 まさか……本当に本気だったのか? ずっと冗談だと思っていたのに。
 しかも、プロポーズされた相手が元生徒、という……。これは前代未聞だ。



「先生、私と結婚してください」

 この矢薙の目は……本気だ。 本気の、目だって分かる。

「悪い、矢薙……。俺は……」

 俺は矢薙をそんなふうに見たことがない。というか、見れなかった。

「私は、先生のことを愛してます。 この先の未来は、先生と紡ぎたいです」

 こんなことを言われたのは、初めてだ。