✱ ✱ ✱ 




「冬崎せーんせっ!」

「おう、矢薙……」

 来栖に言われた通り、俺は矢薙をデートに誘った。 恥ずかしくて仕方ないが、ここは恥ずかしさを捨てなければならないと思い、勇気を出した。
 矢薙は嬉しそうに「先生からデートに誘ってくれるなんて、すっごく嬉しいです。 ありがとう、先生!」と嬉しそうに微笑んでいる。
 
「先生、今日はどこに行くの?」

「矢薙の行きたい所……かな」

 矢薙は「えっ!私の行きたい所に行っていいの?」と嬉しそうに微笑んでいる。

「先生となら、どこへでも楽しいと思うな」

「そう……か?」

 デートなんて久しぶりすぎて、緊張しかしない。
 誘ったはいいが、今時の二十歳の女の子の行きたい場所なんて分からず、矢薙に任せることにしたのだが。

「先生、私、行きたい所あるよ」

「そっか。 どこだ?」

「公園に行きたい」

「公園?」

 公園って……。そんな所でいいのか!?

「なんで公園? 他にも色々あるだろ。水族館とか、映画とか、定番じゃないか?」

「公園で、先生とお弁当食べたいの」

「お弁当?」
 
 俺と弁当が食べたい……? それだけでいいのか?

「うん。 私ね、先生とお弁当が食べたくて、作ってきたの!」

「えっ!?」

 作ってきた……!?