第2章



(みぞれ)



第1節


ーふゆー



1


拓海くんと暮らして、半年が経った。


梅雨だった季節も移り変わって、外はちらちらと雪が降っている。


わたしたちの生活は何も変わっていない。
強いて言うならば、わたしも拓海くんと一緒に仕事をするようになったぐらいか。


拓海くんの過去を知ったあの日、わたしも仕事を手伝いたいと言った。


「わたしも、"仕事"、しちゃだめですか?」
「……それは、どういう意味での仕事?」
「拓海くんがやっている仕事、です」


拓海くんはわたしに罪を背負わせることに引け目を感じたのか、分かりやすく顔を曇らせた。


「いや、だめでしょ、璃恋は」
「いいですって」


拓海くん相手に、何度もこんな台詞を言ってきた気がする。
拓海くんに何かを言われ、それに対してすぐに反論する。


子供の喧嘩みたいで、なんだか微笑ましく思った。