「あが、あぐぐぅぅぅ!」
「殺したくてたまらないようね。プライドも何もかもズタズタにされて、めちゃくちゃにしたいと思っている。けど、それだけでは飽き足らない、脅して優越感に浸りたい? っ――!」
「死ね……!」


 いつも何かを隠し持っているとは気がついていた。
 化物が懐から抜き出したのは人を殺すための冷たい鉄の塊。それを私が視認したとき、彼女の手首が有り得ない方向へと折れ曲がる。


「あ、ぐぎっ⁉ ぎゃっ……あがああぁぁぁああ!」
「強力な武器を持っていると、劣勢の判断が遅れる。子どもだからと侮っているから簡単に奪われる。これは脅しの道具なんかじゃない、人を殺すための凶器よ」
「は……っ⁉ ひっ!」


 奪い取ったそれを、私は彼女の眉間に突きつける。化物だと思っていた女が、今はまるで子猫のように大人しく、涙を流し怯えていた。
 キリリと重い撃鉄を起こす。トリガーを引けば脳漿が吹き飛び、この人間を絶命させるだろう。恐怖を感じない私に迷いなんてなかった。