頭に衝撃を受けた私はよろめいてしまい、その場へと膝をついてしまう。悲鳴を上げていた紐が限界を迎え、ネームプレートがヒラヒラと私の目前に落ちてきた。
 『あかさか かなで』と書かれている名札。長年使っていたからか可愛らしかったはずの文字は、私と同じ名の『雨』のせいで見る影もなく滲んでいた。
 それでもまだ、読める文字。


「かな……で」


 私の大切な宝物。
 それを守ろうと手を伸ばすが先に化物の足に阻まれ、逆に拾われてしまう。


「ゴミは燃やさないと、ね?」
「何を――」