「お嬢様。こんなものをお持ちになられていると、ご主人様や奥様に何を言われてしまうかわかりません。ここは私が責任持って処分させていただきますよ」
「結構よ。返して」


 奪い返そうと手を伸ばしたとき、身長差を利用され届かない場所まで手を挙げられる。


「何の真似?」
「お嬢様には厳しく、そして規律ある生活をと自負しておりますので」
「どの口が」
「こんな小汚い傘は必要ありません! だから処分してやろうと言ってますのに、その口の聞き方はなんですか⁉」


 これが規律? これが厳しく? 私には理解しがたい。ただ自分がやりたいように弄んでいるだけではないの?
 伝えるのは本意ではなかったが、こればかりは仕方がない。ここ最近、彼女の行動は目に余る。