『お嬢様、武道の鍛錬は大変ではありませんか?』
『問題ないわ。総一朗から学んだことは体が覚えてきてる。でも、こんなものを覚えて意味はあるの?』


 疑問を告げると、総一朗は少しだけ困ったように笑う。


『必要なければ一番よいのですが、いつの時代も危険は付き纏うものでございます。お嬢様自身でも身を守れるよう、傷つかぬようと……老婆心ながら。特に海の向こうでは犯罪が多いと聞き及んでおりますゆえ……』
『……そうね、確かに多いかもしれない。ありがとう、総一朗』


 我に返った瞬間、私はその連続攻撃に打ちのめされる。もちろん、致命打となり得そうな攻撃だけは避けて。