衝動的に愛華を抱き締める。時間も忘れて、無心で抱きしめていた。


「あ、の……。」

無音だった空間に、ぽつんと声が落ちた。

その瞬間、我にかえった。

バッッ!!、と我ながらすごい勢いで愛華から離れた


「も、申し訳ありません!!!」

咄嗟に言い慣れた懐かしい口調で謝ると、愛華がオロオロし始めて

「いえその……元気??」

……可愛い。とてつもなく可愛いことを絞り出したように訊かれた。

「はい、今さっき元気になりました」

正直に答えた俺に、ええ⁉︎と驚き慌てる愛華。……ほんとに愛華なんだな、とふと心に沁みる


大丈夫なのか、具合が悪いのか、と慌てて訊かれ、俺の悪戯心が働き、

「ふふ。大丈夫ですよ。貴方様が不足していて重症だったのです」

反応をおおよそ予想がついていながら、ワザとそう伝える。

目を見開き顔を真っ赤に染めた愛華の、予想通りすぎる反応にもっと揶揄いたいと思ったら、「私だって分かったの??」その思考が遮られるように更に訊かれた。

愛華って分かったか、だって??
そんなこと、…

「当たり前です。私がどれだけ愛華様を見守っていたとお思いですか?」

「え、ええ……そうね……。」

ほんっとうに、この人は……。俺の気持ちを信じていないだよな、昔から。

曖昧に返事をされ、呆れを感じた