歩いてきた先生への「どうも」という返答、教室での自己紹介。



…………どちらも、信頼する人間意外、冷酷クールな無口の愛華だった。

変わったと思ったら、全然変わっていなかった。僕に対しては子供っぽくなる口調。今も昔も、僕にだけ心を許していて。

———いや、“アイツ”と僕だけの間違いか。



何も変わっていないという事実に、安心と心配がせめぎ合う。



『うん、ありがとう理人兄』

席を教えた“僕”に、愛華が放った言葉。それにクラス中がざわついた。



————「“兄”ってどういうことだ⁉︎」
————「兄妹⁉︎いやでも、名字違うわよ!!」
————「みどティ(※緑川ティーチャーの略)にタメとかヤバ……」
————「いやそもそも、みどティが“愛華”って呼んでたぞ…⁉︎」



……こいつらが驚愕しているのは当たり前だ。
この“俺”にタメ口を使い、その上『理人“兄”』と呼ぶ人は、この世に1人だけ。
愛華だけだからな


教壇まで聞こえてくる騒めきも、愛華は内容までは分かってなさそうだ。ある意味すごい。流石愛華、ホント変わってない